キャッシュフロー経営について考えてみます。
あなたは黒字倒産という言葉を聞いたことがありませんか?
利益は出ているのに資金繰りが間に合わずに、
不渡りを出して倒産してしまうことを言います。
では黒字が出ているのに倒産をしてしまうというのは
どういうことでしょうか?
答えは、一般的な企業会計では発生主義をとっているから
なんです。
この記事では、キャッシュフロー経営の重要性を
発生主義会計と比較しながら検討していきますね。
キャッシュフロー経営とは?
まずはキャッシュフローの意味ですが、
キャッシュフローとは、読んで字のごとく、
「お金の流れ」のことを言います。
ここでいうお金には、売掛金や買掛金は入りません。
純粋に現金や現金にすぐに変えられる現金同等物のみを指します。
ちなみにフローの対義的概念がストックです。
違いはフローはある一定の期間内でのキャッシュの流れを
指すのに対してストックはある時点での残高を意味します。
さて次はキャッシュフロー経営の意味です。
キャッシュフロー経営とは、実際に現金または現金同等物の
移動を収支の基礎とした経営です。
キャッシュフロー経営と発生主義経営との違い
発生主義経営という言葉はあまり使いませんが、
いわゆる損益計算書の利益をベースにした経営管理の
方法ですね。
先ほど黒字倒産のお話をしましたが、
発生主義は、契約としての売買が成立していれば、
収益として計上します。
なので実際に会社内にキャッシュが入ってくる時期と
利益が計上される時期が、必ずしも一致しないわけです。
一方キャッシュフロー経営は、収支の基礎を
実際に現金または現金同等物の移動に求めますから、
現金の流れが把握しやすく、会社の資金繰りの状況が
一目瞭然になります。
つまり利益が出ているのに資金が回収できていない
という状況があれば、発覚しやすいと言えるでしょう。
キャッシュフロー経営の重要性
会社勤めしている人ならこんな言葉を聞いたことがありませんか?
「A社は毎月15日締め、翌月10日払い」
一般的に支払い条件と言われるものですね。
例えば、売上が3月27日に上がっても、
この売上の締めが4月15日で、実際に現金が支払われるのが
翌5月10日なわけです。
約1ヶ月半の間、現金が入ってこないことになります。
さらに言えば、支払い条件が悪く現金が入ってくるのが
3ヶ月後だったとしたらどうでしょうか?
一般的に、何かを販売するときには原材料を仕入れたり
人件費がかかったりしていますから、それらの費用を
先払いしなければなりません。
それでも体力がある会社なら資金が回りますから、
支払い条件に関わらずに受注してもいいのかも知れません。
もしくは、いわゆる護送船団方式で銀行がいくらでも
お金を貸してくれる時代であれば、資金繰りのことを
気にすることなく売上を上げていけばよかったのでしょう。
しかし今は違います。
またキャッシュフロー計算書では、3つの区分である
・営業キャッシュフロー
・投資キャッシュフロー
・財務キャッシュフロー
が計算されます。
キャッシュフローを重視した経営では、
このキャッシュフロー計算書の3区分の経営分析を
フルに活用して、
資金がどのような性質の活動に投下されて、
またどのような性質の活動から資金を回収しているのかを
検討することにより健全な経営を目指せるのです。
もちろんキャッシュフロー経営と発生主義に基づいた
損益計算書による利益管理は併用すべきですが、
昨今、現金の移動という客観性にもとづいた
キャッシュフローに注目した経営の重要性が
強く語られています。
あなたの職場ではどのような指標を重視しているかを
一度、調べてみるとよい勉強になると思います!